資源循環工学研究所

資源循環工学研究所は、戦略的な調査・研究課題を実施するために学長が指定した研究所の一つで、化学工学課程での教育・研究に携わる教員の多くが参加しています。

大阪府立大学では、平成14年に「水を反応場に用いる有機資源循環科学・工学」の拠点プログラム名称で文部科学省21世紀COEプログラムに採択されました。本学の21世紀COEプログラムは平成19年3月に5年の研究期間を満了しましたが、研究期間内に得られた成果を基盤として、21世紀COEプログラムで形成した研究・教育拠点を継続・発展させるために、平成18年12月に大阪府立大学21世紀科学研究機構「資源循環工学研究所」が設立されました。現在、資源循環工学研究所では、有機性資源だけに限らず全ての資源を対象とする「資源循環科学・工学の大阪府立大学」として、得られた成果を地域の活性化に結びつけるとともに、世界に発信しています。

資源循環工学研究所のベンチプラント実験棟
ベンチプラント実験棟内とその周囲には、実験室レベルの小さい装置からスケールアップした、比較的大きな装置で構成されるプラントが幾つか設置され、実用化に向けた実証試験が行われています。

一日も早い持続可能な低環境負荷社会の実現に向けて、私たちは学内の資源循環・ゼロエミッションへ積極的に取り組んでいます。

大学内で発生する有機性廃棄物を資源やエネルギーとして有効利用する「大阪府立大学キャンパスゼロエミッション」の一環として、生協食堂で発生する残飯から、自動車や発電機の燃料ガスを生産するプロジェクトを進めています。化学工学の最先端技術を駆使した画期的な処理プラント(図1)の開発に成功し、回収した残飯からバイオガス(メタンガス)を効率よく生産することが可能となりました。現在、学内郵便配達車(図2)などの燃料として大学内で活用しています。

図1 有機性廃棄物からのバイオガス製造プロセスの概略
このプラントでは、最初に残飯などの有機性廃棄物がメタン発酵槽内で微生物により分解され、メタンと二酸化炭素の混合ガスが生成します。この混合ガスには人体に有毒で装置を腐食する硫化水素も含まれていますので、脱硫塔でこれを除去します。硫化水素を除去した混合ガスは吸着吸蔵装置に貯蔵され、コジェネレーションシステムの発電機に燃料ガスとして供給されます。発電で得られた電力は実験棟の照明などに、また、発電時に発生した熱は温水として回収し、発酵槽の加熱に利用しています。さらに、混合ガスから二酸化炭素を除去したメタン濃縮ガスは自動車やバイクに充填され、燃料として使用しています。
図2 バイオガスを燃料として駆動する自動車

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