環境・エネルギープロセス工学グループ

天然資源の枯渇や地球環境問題を克服して人間社会の持続的発展を図るためには、エネルギー有効利用と資源循環を念頭に置いた環境調和型プロセスを研究開発することが重要です。環境・エネルギープロセス工学グループでは、新しい環境調和型プロセスそのものの開発ならびにプロセスで製造される種々の製品のプロセッシングの構築を目指した、グリーンプロセスの開発や資源循環に関する研究を行っています。

未利用有価物や廃棄物の資源循環に関するプロセス開発

本研究室は、鈴与商事(株)、(株)公害防止機器研究所とともに、地域分散型バイオガス発電プラント(菊川バイオマスプロジェクト)の開発を行っています。そこでは、排ガス中の炭酸ガスの農事利用を可能とさせる、燃焼排ガスからの窒素酸化物の完全な水吸収による硝酸製造技術と省エネルギーな未利用炭酸ガスの一時貯蔵方法の確立を目指した基礎研究と実証研究を行い、発電プロセスのグリーン化を検討しています。

また、窒素酸化物や硫黄酸化物を高容量かつ迅速に吸着させるゼオライトをこれまで見出しており、大型炉、大規模発電所、燃焼プロセスなどの燃焼プロセスの排ガス処理や金属溶解やメッキプロセスから出る高濃度酸性ガスの処理プロセスに、ゼオライト吸着技術と窒素酸化物や硫黄酸化物の触媒的常温酸化技術を導入し、水吸収により硫酸や硝酸を製造するプロセスの開発に必要な基礎研究および実用化研究を行っています。従来、エネルギーを大量に消費してアンモニアの酸化や脱硫硫黄の酸化で製造している硫酸や硝酸を、排ガス中から高効率で製造するプロセスに置き換え、省エネルギー・資源循環型社会の実現に貢献することを目指しています。

連続懸濁重合プロセスの開発

回分式の懸濁重合は、高分子微粒子を得るために、多くの化学プロセスで採用されている最も一般的な方法です。しかしながら、得られる微粒子の粒径分布が広い、ロット間にばらつきが生じるといった問題点があります。本研究室では、粒子充填層を用いてできるだけ単分散なモノマー液滴を作製し、次のステップで昇温・重合させるといった新しい連続的な懸濁重合法を研究しています。連続懸濁重合プロセスの構築により、生産性を高め、かつ単分散な高分子微粒子を効率良く合成することができます。

再生医療を目指した動物細胞の三次元培養法に関する研究

当研究室で確立された単分散高分子微粒子の合成技術や機能化技術により、高分子量グラフト鎖を有する高分子微粒子を合成した。タンパク質のアミノ基に対して強い反応性を有するエポキシ基を高分子グラフト鎖として導入した高分子微粒子を用いると、ヒトの細胞などを三次元的に培養でき、生体環境を体外で再現することができる。また、三次元培養系には造血幹細胞に近い休眠状態の細胞も含まれ、休眠細胞への抗がん剤の治験など、新しい評価システムを構築できるものと期待できる。

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