反応工学グループ

酵素や微生物などの生体触媒は、副生成物を生じることなく、温和な環境下で反応を触媒することができます。そのため、化学プロセスの触媒として酵素や微生物を用いると、省資源・省エネルギーな環境調和型プロセスの構築が可能となります。このようなバイオプロセスの構築を目指して、反応工学や生物工学の立場で基礎から応用まで総合的に研究を行っています。すなわち、産業用の触媒として利用できる微生物や酵素の探索、遺伝子工学、タンパク質工学、あるいは酵素工学的手法を駆使した産業用酵素や微生物の設計と開発、および生体触媒の機能の解明とバイオリアクターの設計・開発に関する研究を行っています。また、これらの成果を応用した環境調和型プロセスの構築を行っています。特に、有機溶媒耐性酵素の開発、高効率に有用物質を生産する酵素や微生物の開発、およびそれらの生体触媒を用いたバイオプロセスの開発を手掛けています。

医薬品等のファインケミカル製品の多くは難水溶性であるため、反応溶媒として有機溶媒が用いられます。有機溶媒存在下では酵素は通常、その触媒機能を喪失してしまいますが、有機溶媒存在下での高い活性と安定性を保持した酵素が有機溶媒耐性酵素です。本グループはこのような有機溶媒耐性酵素を世界で初めて見出しました。新たな有機溶媒耐性酵素の創製や有機溶媒耐性酵素の機能向上のため分子設計、有機溶媒耐性酵素を用いた環境調和型プロセスの構築を手掛けています。
水素は燃やすと、水のみが生じ、二酸化炭素を排出しません。そのため、次世代のクリーンなエネルギーとして注目されており、水素自動車などの燃料としての利用が検討されています。しかしながら、現行では化石燃料から水素を製造しているため、持続可能なエネルギーではありません。そこで、枯渇しないバイオマス資源を原料とし、微生物を用いて水素を製造することを試みています。既に、バイオマス資源であるセルロースから生成可能であるグルコース等を利用して水素を連続的に製造することに成功しています。実用化に向けた今後の課題は、効率よく、迅速に製造することです。遺伝子工学、代謝工学、タンパク質工学、および細胞工学の技術で優れた微生物を作り出し、効率の良いバイオリアクターで連続的に製造することに手掛けています。まさに、クリーンなエネルギーをクリーンな方法で作り出すことを目指しています。

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