大気環境における核生成

気相核生成は大気中でも起こっています。SOxやNOx等の環境汚染ガスに放射線を照射すると、 正負イオンとOHラジカルを生成します。OHラジカルは汚染 ガスと反応し硫酸や硝酸分子を生成し、これら低蒸気圧 分子は水分子とともに二成分核生成により、粒子転換し ます。一方、イオンは水分子や低蒸気圧分子を引き寄せ、イオン誘発核生成により、微粒子化します。この核生成現 象は、オゾンホール形成に関与している成層圏エアロゾル の生成機構として、注目されています。オゾンホールにおける極成層圏エアロゾや地球温暖化を左右する対流圏エアロゾル、酸 性雨や 霧の核となる大気境界層エアロゾル、都市部において健康への影響が問題となっ ているPM2.5  など、その関与は多岐にわたっています。本研究室では、大気環境汚染ガ スのガス−粒子転換 機構についても精力的に研究を行っています。

 
 (1)イオン誘発核生成の定量化実験
・連続混合型イオン核化装置の開発
・核化速度におよぼすイオン種の影響
・凝集モデルに基づく理論の展開

(2)環境汚染ガスの微粒子転換機構の解明
・SOx、NOx、NH3、CO2、VOC、喫煙ガス
・ラジカル反応による微粒子転換速度測定
・イオン誘発 核生成による微粒子転換速度測定